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日本運動器看護学会認定運動器看護師 菊地 瞳
ロコモティブシンドロームという言葉をテレビでよく聞くようになりましたが、皆さんはその言葉の意味をご存知でしょうか。ロコモティブシンドロームとは、加齢による骨・関節・筋肉といった運動器の機能が衰えることにより、日常生活での自立度が低下し介護が必要になったり、寝たきりになったりする可能性が高い状態のことを言います。
私は整形外科で看護師をして9年になります。入院患者様の中には不意の転倒による骨折により入院される方がいらっしゃいます。一度骨折を経験すると、二度と骨折を起こさないように日ごろから運動をする方と、転ばないようにあまり運動をしない、歩かないようにする方もいらっしゃいます。また普段の生活でも、やらなければならないことが多い人と介護者に頼りきりの人では運動量に大きな違いがでます。
しかし、活動を控え運動をしないこと、外出を控えることは日光にあたる機会が少なくなり、カルシウムのほかにも骨を強くするのに必要なビタミンDがつくられなくなり、骨がもろくなってしまいます。また、歩かないこと、運動しないことで関節の動きが悪くなったり、体が硬くなったりし、少しの段差でつまずいたときにバランスを崩しやすく、立て直しにくくなってしまいます。
私は入院している患者様がいち早く自分の生活に戻られるように援助したいと思い、日本運動器看護学会の学会認定運動器看護師という資格を取得しました。この資格はまだ始まって8年目ですが、全国の運動器看護師が専門的な知識を共有し、動くことに障害のある患者一人一人に合わせた看護を提供していくこと、患者、家族へのサポートをしていくことが役割となっています。しかし、入院中に病院、医療者が援助できることは限られています。患者様自身の努力が必要です。自分の退院後の生活を思い描いて、入院中に何ができるのか、何をできておく必要があるのかを考えて、リハビリに励んでいく必要があります。リハビリ室で行うことだけがリハビリではありません。ベッド上でのストレッチや運動、トイレへの移動もリハビリです。
いつまでも元気に、自分の力で日常生活を送られるように日ごろからの運動をしていきましょう。可能であれば、次の運動を毎日でも行えると、日々の生活を元気に過ごす手助けになると思います。
つまずきによる転倒を防ぐための、椅子や床に座って行う運動
日ごろからできること
このような運動を少しずつ行って、少しでも長い時間自分の力で生活し、日々の生活がより暮らしやすくなっていただけたらと思っています。地域の方々みんなが元気に生活し、笑顔で暮らせるように。