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院長 玉澤 直樹
新年あけましておめでとうございます。
平素より、当院へのご協力、ご支援に厚くお礼申し上げます。当院は本年も「やさしくあたたかい病院」という当院の理念を職員全員が心にとどめ、地域の皆様から信頼される病院を目指して参ります。
青森労災病院の診療の特徴は、
1.消化器内科-外科-放射線科を中心としたがん診療
2.患者の啓蒙・診断・治療に係る生活習慣病(糖尿病・高血圧・脂質異常症)
3.高度な専門分野からリハビリまで広い疾患を対象としている整形外科
4.尿路疾患から悪性腫瘍、維持透析をカバーする泌尿器科
が柱となっています。
その他にも労災病院として行う特徴的な医療として、①介護施設との連携強化、②政策医療(アスベスト健診、じん肺検診、そしてがんと糖尿病の「治療と就労の両立支援」等)、③産業保健活動、④未病対策(お気軽検査や乳がん検診等)についても伸ばしていきたいと思っています。
皆様にとりまして本年が健やかで、楽しい年となりますよう祈念しまして、年頭のご挨拶といたします。
外科部長 兒玉 博之
痔は肛門とその周囲の疾患です。
男女を問わず多い身近な病気にも関わらず、恥ずかしくて病院へ行くのをためらい悩んでいる人も多いと思われます。症状があっても放置することで、悪化してしまうこともあります。
痔は、痔核(じかく;いぼ痔)、裂肛(れっこう;きれ痔)、痔瘻(じろう)の3種類が多くを占めます。
●痔 核
排便時に肛門に強い負担がかかることによって、肛門を閉じるクッションの役割をしている部分が腫(は)れたり、その部分を支える組織が弱くなり肛門の外に出てきます。発生する部位により内痔核と外痔核があります。
女性の場合は出産時に肛門に大きな負担がかかるために痔核になるケースも少なくありません。
痔核では排便の時に出血することがあります。アルコールや辛いものは悪化の原因となります。また血栓の形成や嵌頓(かんとん;痔が腫れて肛門から脱出し、戻らなくなった状態)の際には痛みが出ることもあります。
治療は座薬や軟膏による薬物療法、硬化剤注射、手術があります。
●裂 肛
硬い便との摩擦や、下痢による排便回数の増加などによって、肛門が傷つくことで発症します。便秘の場合は無理にいきんでしまい、下痢がひどい場合は傷の治りが遅れるため、どちらも悪化の要因となります。
裂肛では、痛みや出血を起こします。さらに炎症を繰り返すことによって瘢痕(はんこん)や肛門狭窄となることがあります。
治療は軟膏や整腸剤による薬物療法、手術(括約筋切開術;狭くなった肛門を広げる)があります。
●痔 瘻
肛門の近くが細菌によって化膿することがあります。この状態を肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)と言います。
肛門周囲膿瘍になると、肛門の周囲が熱をもって赤く腫れ、激痛や発熱が起こります。
膿が排出されて肛門周囲膿瘍が治まったあとに、細菌が侵入した入口と膿が排出された出口がトンネル状の管として残る場合があります。これを痔瘻といいます。
痔瘻になると肛門の周囲の小さな穴からは膿の混じった分泌液がでて、お尻がべたついたり下着が汚れたりします。
痔瘻の治療は、薬物療法は無効であり手術を要します。
ところで、痔=手術と思われますか?痔の治療は日常生活を改善し、お通じを整えることと肛門部を清潔に保つことが基本になります。痔核や裂肛では軟膏などの薬物療法を行いますが、改善しない場合は手術を検討します。手術が行われるケースは、痔核や裂肛で10~20%程度と思われます(痔瘻は手術しか方法がありません)。
最後に、痔だけではなく、大腸がんや大腸ポリープなどでも肛門からの出血は起こります。排便のときに出血や痛みを感じるなど、気になる症状があるときは、早期に受診することをお勧めします。