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うみねこ通信 No.280 令和4年10月号

ワクチンのはなし-2022年秋バージョン-

健康診断部長 日向 豪史

予防接種とは、簡単にいうと免疫(めんえき)をつけることです。免疫とは、病原体がからだに侵入しても、排除する仕組みです。免疫により病原体による感染症にかかりにくくし、かかっても症状を軽くすることができます。また、接種することにより、他の人にうつすのも防ぎます。予防接種に使用される医薬品を、ワクチンと言います。新型コロナワクチンも、そのひとつです。

現在使用している新型コロナワクチンは、主にメッセンジャーRNAワクチンというタイプです。コロナウィルスの表面にあるトゲトゲ=スパイクタンパク質が人の細胞にくっつくことがわかっています。その設計図を注射によって送り込み、トゲトゲを一時的に作らせることで、体内で中和抗体が作られ、免疫ができます。ウィルスを退治する働きができます。ただ、この効果は長くは持続しないため、期間(5ヶ月以上)をおいて、再接種が必要になります。

 これまでワクチンを数回接種したのに、なぜコロナにかかってしまう方がたくさん出てしまったのでしょうか。それは、従来のコロナウィルスが次々に変異(例えばオミクロン株)し、スパイクタンパク質も変化したためと言われています。接種した場合は、接種しない場合に比してコロナ感染を防ぐ効果には差がありませんでしたが、かかっても重症化しない効果はあり有用でした。今後は変異したコロナウィルスに対応したワクチンが開発されて、近いうちに接種できるようになり、より有用性が高まると思われます。

新型コロナウィルスに過去にかかってしまった方は、ワクチン接種が不要なのでしょうか。かかった後には確かにその免疫は強くなりますが、やはり徐々に低下してくると言われています。ワクチンは、免疫効果を持続させるためには接種することが望まれます。接種するタイミングは、かかってから回復した後はいつでも可能です。

季節性インフルエンザの予防接種は受けた方がいいのでしょうか? 2020年と2021年は、幸い世界的にもインフルエンザの流行は見られませんでした。2022年秋でも日本では流行の兆しが見られません。ところが今年、日本とは季節が真逆の南半球では、インフルエンザが流行しています。これが日本に持ち込まれるか、そして流行するかどうかはまだわかりません。このような理由から、インフルエンザワクチンも接種しておくのがいいと思われます。
2022年7月27日から、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの間で接種間隔を空ける必要がなくなりました。同時接種しても構わないということになります。
 

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