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うみねこ通信 No.286 令和5年4月号

全身病と眼

眼科部長 木村 百子

眼は心の窓、脳の出張所、目を見れば全身が判かるなどの表現があるように、目には喜怒哀楽のみならず全身の病気の影響が現れることがあります。

一番罹患者が多いのは
1)高血圧
高血圧による眼の細動脈の障害により眼底出血が起きたり、眼の血管が詰まって虚血による視力障害が起きたりすることがあります。高血圧はあまり自覚症状のない方が多いですが、眼だけではなく脳の血管にも悪影響を及ぼしますので、安易に考えないで血圧の正常化を目指してください。
次に昭和・平成の中頃までは中途失明原因の第1位だった
2)糖尿病
眼底の網膜の血管が障害され出血や正常では見られない増殖組織などが発生し視力が低下し、ある程度進行すると治療しても視力回復不能な例が多いです。糖尿病治療中の方は、自覚症状がなくても年1回の眼底検査を受けられることを勧めます。
そ の 他
3)脳神経疾患
脳腫瘍や脳卒中、クモ膜下出血により視力障害が起きたり視野が狭くなったりすることがあります。さらに片目ずつの見え方には異常はなくても、両目で見ると物が二つに見える症状も眼球を動かす脳神経の障害で起きることが知られています。また、急に瞼が挙がらなくなることも脳神経障害で起きることがあります。
4)甲状腺疾患
眼球の周囲の筋肉や脂肪組織に炎症や容積の肥大が起きて眼球が突出したり、眼球の動きが悪くなったりします。また眼瞼の後退や角膜の障害、視神経の障害など多彩な症状が現れることがあります。
5)膠原病
自己免疫で自分の臓器に障害を起こす疾患の総称ですが、やはり目に障害の出ることも多々あります。ベーチェット病、サルコイドーシス、原田氏病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどが知られています。また病気に対して長期にステロイドを内服している場合に、白内障、緑内障などの副作用が起きることがあります。
6)重症貧血、血液疾患
網膜に出血や白斑などの異常が現れることがあります。
3)~6)の疾患は目の症状があった場合に眼科を受診されるので構いませんが、糖尿病と高血圧のある方、ステロイドの内服をしている方は自覚症状がなくても年に1度ぐらい、眼科で検査を受けられることをお勧めします。
 

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