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うみねこ通信 No.288 令和5年6月号
- 右下腹部に痛みを感じた場合、虫垂炎ではないか、手術が必要ではないかと心配された方は多いのではないでしょうか。今回は虫垂炎とそれと症状の似た、大腸憩室炎についてお話します。
- 虫垂炎は、‶もうちょう”という通称で知られていますが、これは昔、虫垂炎の発見が遅れ、炎症が盲腸まで広がった状態で発見されたケースが多かったことに由来しています。急に激しい腹痛を来たし、外科的な治療を考慮しなければならない病態を総称して、‶急性腹症”と云いますが、その中で多いのが急性虫垂炎で、15人に1人が一生涯に一度は発症すると云われています。発症のピークは10-20歳代ですが、小児、高齢者を含め、どの年代でも発症します。虫垂炎は盲腸の先端にある虫垂といわれる部位に炎症が起き、最も顕著な症状が右下腹部痛で、初めはみぞおちあたりに痛みを感じ、徐々に右下腹部に痛みが現れてくるのが典型的です。痛み以外には発熱、吐き気、下痢、食欲不振などの症状が現れる場合もあります。治療は軽症の場合、保存的治療(絶食、点滴、抗生物質投与)で改善する事がありますが、炎症が進んでいる場合、手術が必要なこともあります。
- 大腸憩室炎は消化管の壁の一部が外側にせり出した袋状の憩室に便などがたまり、細菌感染によって炎症を起こす病気です。憩室は大腸にできることが多く、お腹の右側または右下に位置する上行結腸や盲腸などで憩室ができて炎症が起こった場合には右下腹部痛が起こります。また、憩室で出血が起きた場合には血便が見られることもあります。通常は虫垂炎と同様に、保存的治療が行われますが、重症時は手術が必要となることが1割ほどあります。
- その他炎症性腸疾患、尿管結石症など多くの疾患が原因で、右下腹部に痛みを感じることがあります。症状が改善しない場合は、なるべく早く医療機関を受診され、原因疾患の診断を付けることが必要です。その際内科、外科に限らず、泌尿器科や婦人科疾患もあり得るので、総合病院での診察をおすすめします。