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うみねこ通信 No.289 令和5年7月号

便の色について

第二消化器内科部長 佐藤 和則

皆様は日頃、便の色を見ていますでしょうか。普通は茶褐色から黄色をしていますが、便の色によって内臓の病気がわかることがあります。今回は、黒い便、赤い便、白い便についてお話します。

1)黒い便(黒色便)
血液が混じって時間が経過すると黒色に変化するため黒色便となります。原因は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍など口に近い消化管からの出血が考えられます。アルコール、たばこ、不摂生な食事などが原因といわれています。痛み止めなどの薬が原因で潰瘍ができることがあります。腹痛などの症状がないこともあり、トイレに行って初めて便の色がいつもと違うと気づくことが多いです。 ほかに貧血の薬の鉄剤を飲んでいると黒い便になることがあります。胃がんなどの悪性の病気のこともありますので早めに受診されるようにしてください。

2)赤い便(血便)
考えられる病気は、腸炎や大腸憩室(だいちょうけいしつ)などの大腸からの出血、痔からの出血、大腸がん、大腸ポリープの切除後などがあります。肛門から近い大腸からの出血は真っ赤な便で、小腸に近い大腸からの出血は黒赤色の便がみられます。腸炎では、お腹が痛くなることが多いですが、大腸憩室出血や大腸ポリープ切除後、大腸がんからの出血ではお腹が痛くないことがあるため、注意が必要です。また、出血の量が多ければ、胃や十二指腸からの出血であることもあります。原則として入院治療になることが多く、至急、病院を受診してください。

3)白い便
原因として、バリウム検査のあと、肝不全や閉塞性黄疸、ロタウイルス腸炎などがあります。検診でバリウムを飲んだ後、バリウムが白い便となって出てきます。他に、肝臓と胆管の病気が考えられます。便が茶褐色から黄色なのは胆汁が混じっているからです。
胆汁は肝臓で作られますが、肝不全になると胆汁が作られなくなり、また、胆管に石や腫瘍があると詰まって胆汁が腸に排出されなくなり、白い便になります。進行すると目の白い部分が黄色くなる黄疸という症状がみられます。

便の色によって様々な病気がわかることがあります。皆様もトイレに行った時、便の色をみることをおすすめします。
 

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