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うみねこ通信 No.295 令和6年1月号

新年のご挨拶

院長 玉澤 直樹

新年明けましておめでとうございます。昨年中はいろいろとご協力・ご支援いただきまして心よりお礼申し上げます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

現在の日本の医療情勢には、人口減少・少子高齢化により、団塊の世代が全員後期高齢者となる「2025年問題」、そして65歳以上の高齢者人口が全人口の約35%でピークを迎える「2040年問題」という問題が存在し、それに対して医療体制をどのように対応させていくのかが大きな課題です。そのために今後は治すことが中心の「従来型医療」から、治し支える「生活支援型医療」への転換が求められていきます。

青森労災病院では、高度急性期・急性期病床から回復期病床(地域包括ケア病棟)まで、切れ目の無い医療を提供するケアミックス型の病院として、この地域の医療に貢献して参ります。急性期治療を終えた患者さんは、通常すぐに退院する必要があります。しかし、中には在宅療養に不安がある等の理由で在宅復帰支援を必要とする方がいます。こうした方々が在宅療養までの間、医療や支援を受けることのできるのが地域包括ケア病棟です。また、すでに在宅療養を行っている患者さんの緊急入院の受け入れをする病棟(レスパイト入院)としても機能しています。

その他にも、がん診療連携推進病院、地域医療支援病院、紹介受診重点医療機関、在宅療養後方支援病院としての役割を担って参ります。また、当院の特徴としての政策医療として勤労者のための「治療と仕事の両立支援」を推進していきます。

皆様にとりまして本年がより健やかで、充実した年となりますよう祈念致しまして、年頭のご挨拶といたします。

骨折手術後の体内金属は抜いたほうがよいのか

整形外科医師 大山 哲司

〇抜釘術

整形外科診療を行っていると、骨折の患者さんを診療する機会はとても多いです。その際に患者さんから、「(骨折の治療で用いた)金属は抜くのですか?」という質問を受ける機会がたびたびあります。

一般的に骨折治療にはピン、スクリュー、プレートなど様々な形状・役割をもった金属を用いて骨折した部分を固定する手術(骨接合術)を行います。その際に使用した金属を取り除く手術を抜釘術(ばっていじゅつ)といいます。この抜釘術ですが、すべてのケースで行うものではなく、手術のメリットとデメリットを比べながら、行うかどうかを考えなければなりません。

〇抜釘術を考慮する場合

小児骨折では、金属を残しておくことで、手術をした骨の今後の成長に影響(成長障害)を及ぼす可能性があります。そのため、骨がくっつく頃に抜釘術を検討することが多いです。また、金属により皮膚に当たって痛い、などの日常生活で困るような刺激症状がある場合にも抜釘術が検討されます。

骨接合術では多くのケースでは問題とならないことが多いですが、どうしても手術をした骨や金属が細菌にかかったり(感染)、骨がくっつききらなかったり(骨癒合遷延・偽関節)することが一定の割合で合併症としてあります。薬の投与・金属を残したままでの治療でも困難な場合には金属を抜く(場合によっては新たな金属を入れ直す)ことがあります。

〇抜釘術をしない場合

手術侵襲(患者さんへのダメージ)が大きい場合などメリットに比してデメリットが大きい場合は抜釘術をしないことが多いです。一般的に抜釘術は初回手術と同じくらいの皮膚切開と展開(筋肉や腱などをよけて骨に到達すること)を要します。また、高齢者の場合は手術自体が身体にとって大きな侵襲となります。例えばですが、一般的に高齢者に多い大腿骨転子部骨折(太ももの骨の付け根での骨折)に対する骨接合術などでは、侵襲が大きいことや術後再骨折のリスクから、金属の破損や感染(細菌感染)などの大きなトラブルがない限りは金属をそのまま残しておくことがほとんどです。また、成人した若い方の手術であっても、無症状で将来への影響を及ばさない場合に費用や治療期間、侵襲・再骨折リスクなども考慮して積極的に抜釘しないこともあります。

〇最後に

ここでは詳細に触れていませんが、金属が手術した場所に近い筋肉や腱などに影響して損傷のリスクや、将来の関節変形に伴う手術を行う可能性に備えてこちらから手術をお勧めすることもあります。また、術後5年・10年と経過した金属は、術後1,2年と比べると金属の上に骨ができて一般的には取り除きにくい(あるいは取り除けない)傾向があります。一方で、抜釘することでの再骨折リスクもあります。怪我・病気、症例ごとに様々ですので最終的には主治医・執刀医の先生とご相談していただくことをお勧めします。

 

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