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うみねこ通信 No.301 令和5年7月号

水分補給の基礎知識 ―暑さに備えるために―

管理栄養士 川村 美穂

ここ数年の夏のニュースといえば、「最高気温更新」や「熱中症で救急搬送」のフレーズが思いつくほど、猛暑が続いています。それと同時に「熱中症予防」「脱水予防」「水分補給」も繰り返し情報発信されています。
暑さは知らず知らずのうちに私たちの体力や抵抗力を奪っていきます。暑さに備えるための水分補給について解説していきます。

1.日常的に必要な水分補給
厚生労働省は、成人が1日に必要とする水分量を2.5ℓとしています。半分は食事中の水分などで、残り半分は飲水でとる必要があります。
食事自体が不足したり、欠食したりすることで食事からの水分や塩分が不足しますので、3食しっかり食べることが水分確保につながります。米飯は半分が水分でできていますので汁物や煮物と一緒に組み合わせて食べる和食は良い組み合わせです。逆に、パンと肉が中心となる食事は水分が少ないため、飲水で追加するのがいいでしょう。また、私たちの体が一度に吸収できる水分は200~250㎖と言われますので一度にまとめて飲むことは避けましょう。さらに、利尿作用があるコーヒーや緑茶だけでは水分補給になりにくいですし、アルコール類も利尿作用が強く脱水になりやすいため注意が必要です。ジュースや炭酸飲料など砂糖を多く含む清涼飲料水も飲み過ぎるとかえってのどが乾いてしまう事があるため不向きです。水やほうじ茶、麦茶などノンカフェイン・ノンカロリー飲料が水分補給におすすめです。
日常生活の中で汗をかくような活動があった場合は水分の追加が必要です。散歩や庭いじりなど軽作業でも時間が長くなるとたくさんの汗をかく活動になりますので、水分補給をしてから活動を始め、30分毎には水分を取りましょう。また、入浴中や就寝中にも汗をかいていますので、入浴後や起床時には、水分が不足しがちですので補給しましょう。
よく汗をかいた時は塩分も一緒にとったほうがいいんですよね、と質問されることがあります。先に述べたように、食事をしっかり食べられていれば食事からの塩分で十分補給できますのでわざわざ塩分を追加しなくても大丈夫です。同様の理由から、水分補給のためにスポーツドリンクを飲む場合も、スポーツドリンクばかりまとめて飲むことはしなくて大丈夫です。
急激な発汗や長時間の高温、絶食などがない通常の生活では、3食摂取とこまめな水分補給で予防効果が期待できます。

2.熱中症を含む脱水症予防のための水分補給
私たちの体は、約60%が水分でつくられており、のどの渇きはすでに脱水が始まっている証拠とも言われます。日常的な水分補給をしていても水分不足になってしまうこともありますので、特に夏場や汗をかく時期には水分を追加しましょう。
その際、経口補水液(医学的知見から水にナトリウムやカリウムなどの電解質(塩分)と糖分(砂糖やブドウ糖)を一定の割合で配合設計された飲料)やスポーツドリンクなどを利用するのもいいでしょう。追加分としての水分ですから、500㎖ペットボトル1~2本を目安に必要に応じて飲むようにしましょう。
経口補水液とスポーツドリンクの違いは吸収率です。すでに、脱水症状がある場合は、スポーツドリンクでは補給が不十分になる可能があるため、経口補水液を選びましょう。また、味の違いは砂糖と塩の割合の違いです。経口補水液の方が、砂糖が少なく塩が少し多いので、美味しいと感じにくい味です。しかし、脱水症状がある方は美味しいと感じる場合が多いそうなので、味で脱水症状が出ている目安になるかもしれません。
知識を持って対策をとっている方には復習として、詳しくはわからないという方には興味を持ってもらい、暑さに備え、しっかり準備して脱水症、熱中症だけでなく夏バテも乗り切りましょう。
 

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