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うみねこ通信 No.307 令和7年1月号

新年のご挨拶

院長 玉澤 直樹

新年明けましておめでとうございます。昨年中はいろいろとご協力・ご支援いただきまして心よりお礼申し上げます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

全国の病院において、新型コロナの流行期には一般患者の受け入れ制限や感染を恐れる心理的な影響もあり入院稼働率が低い時期が続きました。2023年5月の「5類移行」から1年が過ぎた2024年度に入っても1日当たり入院患者数および病床利用率の低下が、コロナ発生年次の令和2年のレベルまでに回復しない状況が続いています。新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金や各種助成金などがなくなり、さらに物価高騰も相まって収益が大幅に減ったことによるとされています。

病院が健全に機能し運営されていることは、地域の患者さんに対して安心な医療を行うためにも大切なことです。しかし、地域医療構想の進展、働き方改革に伴う労働時間の制約、人材不足、医療材料等の値上げなどの問題は、全国的な病院の問題であり、診療報酬対応も含めた財政支援や特例的な補正予算などを国に対して要望していくことも大切です。地域医療構想においても、上述した新型コロナウイルス感染症への対応状況に配慮しつつ、病床数など改めて検討することも肝要と考えます。

当院においても経費削減はもとより、どのように病院を運営していくか、地域の医療ニーズを踏まえて病院機能を見直し合理化すること、そして地域における病院間の連携を深めることが急務です。不安定な経営環境下で方向性を見誤ることなく、質の良い医療を実践して地域医療に貢献していくことを第一に考えることが大切です。

皆様にとりまして本年がより健やかで、充実した年となりますよう祈念致しまして、年頭のご挨拶といたします。

大腸内視鏡検査について

内視鏡科部長 木村 聖路

大腸の内視鏡検査は前日から下剤を飲んでいただいて腸管内を洗浄していただき、綺麗な画像の内視鏡検査を心掛けております。患者さんの希望などで行う直接スクリーニング検査と自治体や職場などの検診陽性により行う検診精査と血便などの臨床症状でやる診断内視鏡検査の3種類があります。直接スクリーニングでは1%、検診精査では5%、臨床症状では10%の頻度で大腸癌が発見されています。つまり初めて検診を受けて陽性となった場合、内視鏡検査をきちんと受けていただくと20人に1人は大腸癌を発見することができます。逆に言えば19人のひとは正常またはポリープのみの患者さんですから、検診陽性だからと言って怖がらずに、積極的に内視鏡検査を受けていただきたいと思います。

また大腸ポリープを発見された場合には、当院では3日間入院いただいて安全に大腸ポリープ切除を行っております。10㎜前後の比較的簡単なものから20㎜以上の切除に時間のかかる病変もあります。難しいものでなければ苦痛もなく30分程度で切除可能です。その後は全ての患者さんにフォローアップ内視鏡検査を必ず1年後に受けていただいております。それはポリープ切除した患者さんの20-30%程度で次回検査でもポリープが発見されているからです。一度ポリープを切除した患者さんは新生病変が発生しやすく、また残念ながら前回検査で見逃されていたポリープもあるからです。勿論そのようなポリープがない様に心掛けていますが、前処置不良で残便が多量であった場合などに見逃しが発生する場合があります。

内視鏡検査を行ってもしポリープのない正常大腸であった場合には、5年後のフォローアップ検査を勧めております。また切除する必要のない微小ポリープ(5㎜未満)などがあった場合には、2-3年後のフォローアップ検査を勧めています。しかし1年後にはほとんどの患者さんに来院していただけても、3年後来てくださいと言われても、半分程度の患者さんは忘れてしまって来ないのが実情です。初回の大腸内視鏡検査を行ってから、切除が必要なポリープがある場合には1月間後に入院してください、切除は必要なくてもフォローアップの検査が必要な場合には2-3年後に来院してください等と申し上げますので、必ず大腸の処置または検査を受けていただきたいと思います。

大腸の内視鏡検査は胃の内視鏡検査と違って前処置として大量の下剤を飲まなければいけないために敬遠されがちです。最近はモビプレップという飲みやすい下剤も用意しておりますので、どうぞよろしくお願いします。 また大腸の内視鏡検査は苦痛を伴う場合があり、特に高齢者や女性では敬遠されがちです。しかし高齢者にこそ大腸癌が多く、また最近では女性の大腸癌も増加していますので、すべての方に検査が必要です。当院には細径内視鏡という非常に細いカメラがあり、そのような患者さんに極めて有用です。特に婦人科手術や消化管手術を受けた方は腹腔内に癒着があり、挿入困難となっている場合があります。そのような患者さんにも細径内視鏡は有効ですので、心配せずに受診していただくことをお勧めします。

大腸の内視鏡検査の需要は最近急速に増加しており、病院によっては胃の内視鏡検査数を超えるほどの検査数となっております。最近では胃の検診がバリウム検査から内視鏡検査に変わる趨勢があり、大腸の検診も将来的にはそのような内視鏡検診に変わる可能性もあります。しかしまだまだ医療者側の検診に関わる質と量の充足度が足りないのが実情で、患者さん側が大腸癌や大腸ポリープへの関心と便潜血検査による大腸検診に深く関心を持っていただき、初回陽性の返事が来ても怖がらずに全員受診していただくことを期待いたします。

 

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