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うみねこ通信 No.79 平成18年1月号

鼻出血について

耳鼻咽喉科部長  対馬 孝義

◎ 外来診察でよくきかれることをあげてみます。

その1、「あたってしまうことはないのか?」「あたるまえぶれじゃないのか?」つまり脳卒中との関連を心配しているようですが、鼻血はあくまでも鼻血であり、脳の血管とは関係ないです。たまたま脳卒中と鼻出血が同じ時期におこることは皆無とはいえませんが。

その2、「原因は?」循環器疾患・血液疾患など全身疾患、外傷や鼻・副鼻腔腫瘍など原因がはっきりしていることは30%くらいでほとんどの場合原因がはっきりしません。(特発性鼻出血)「原因はわかりません」というと無責任のように感じるかもしれませんが、(患者さんによっては原因不明というと怒り出す方や、笑い出す方もいます)原因不明の病気はまだまだたくさんあります。

その3、小児の場合は「眠っている間に鼻血がでたらしくて、枕が真っ赤だったのですが。」ということがしばしばあります。小児の場合、起きている間はだれかが見ているので大丈夫でも、眠っている間に無意識に鼻をほじってしまい(アレルギーの方が多いと思いますが)そのため夜中に鼻血をだすのではないかと思います。そういう場合指先に血がついていることが多いです。

その4、「鼻をおさえたら目から血がでてきたのですが。」鼻と目は細い管でつながっていますので、その管を通って鼻血が目にまわったものと思われます。

その5、いままでで一番困った質問は、「鼻血は悪い血だから出しっぱなしにしておいた方がよいのですよね」というものです。なんと答えてよいのか。

その6、「家で鼻血がでたときどうしたらよいのでしょうか?」家で突然鼻血がでた場合、すぐに病院にと考えるのは最善とはいえないと思います。なぜなら病院に着くころには既に出血が止まっている場合が割合多くみられます。まず落ち着いて行動してください。すぐに横になるのはよくありません。特に仰向けになりますと、血液がのどに落ちて気管に入って窒息の危険が生じます。

外鼻正面また、のどにおちた血液を飲み込んでしまいますと、後に嘔吐してしまうことがあります。したがって、基本的にはすわったままの状態で軽くうつむき加減の姿勢がよいと思います。出血している方の鼻の中になるべく大きな綿(なければティッシュペーパー)をいれて鼻翼(ピクピク動く部分。動かすことができない人もいます。骨の部分は意味がありません。)の部分を親指と人差し指を使って強くつまむことによって、出血していると思われる部分を圧迫します。額や後頭部をたたいても意味はありません。また冷やすこともあまり効果的とはいえません。まずは圧迫です。

鼻血は、鼻内でも前の方からのでることが多いので10分くらいおさえていれば止血されるとおもいます。それでも止まらない時は耳鼻科を受診してください。

◎ 耳鼻科での止血法を少し紹介します。
  • 1) 出血部位がはっきりしている場合は、血管を収縮させる薬剤をつけたガーゼあるいは綿球をいれて圧迫します。その後電気凝固させます。前方からの出血であれば、非常に勢いよく出ている場合でもこの段階で止血可能です。
  • 2) 出血部位がはっきりしていない場合は、とにかく圧迫します。サージセルやスポンゼルといった特殊な材料や軟膏をぬったガーゼを使用して強く圧迫します。当然挿入の際は非常に痛いのですが、ある程度がまんしてもらいます。
  • 3) 出血部位が後方で圧迫が困難な場合は膀胱用のバルーンを挿入して、のどへ血液がおちるのを防ぎ、さらに前方から軟膏付きのガーゼをいれて、圧迫します。この場合は入院となります。
  • 4) ここまでしても止まらない場合もありますが、ここではふれないでおきます。

これから冬場は乾燥したり、あるいは風邪をひいて、はなをかむ機会が増えたりで、鼻血がでる機会も多くなるかもしれませんが、今回の話が少しでも役に立ったなら幸いです。

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