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うみねこ通信 No.151 平成24年1月号

糖尿病とアルコールについて

糖尿病・内分泌内科部長  日向 豪史

糖尿病の治療では、一般に「禁酒」がすすめられます。なぜでしょうか。適量を超えた飲酒を続けると、次第に体の各器官が不調をきたして健康を害します。もちろん糖尿病も悪化するからです。最近、適度な飲酒により糖尿病の発症の危険性が低下するという研究が発表されました。ただし、ビール、ワイン、リキュールなどのお酒を、1日に1~2杯で切り上げられる場合に限ります。それ以上の飲酒量になると危険性はむしろ高まります。

 アルコールは1グラムあたり7kCalですが、栄養素はありません。過剰に摂取すると、肥ってきますし栄養不良にもなります。そしてアルコールは、食欲を亢進させる作用もあります。そのため、糖尿病の治療の基本である食事療法がおろそかになります。

血糖コントロールにアルコールがもたらす影響について説明します。肝臓がアルコールを分解する際に、肝臓が糖を放出するため、血糖値が上がります。また過剰にアルコールを摂りつづけると、肥満、脂肪肝を起こします。それがさらに血糖値を下がりにくくするのです。また空腹状態で飲酒をすると、肝臓がアルコールを代謝するのに追われます。そのため糖がたりなくなり、重篤な低血糖発作を起こすことがあります。

 糖尿病の治療中、アルコールが許可される条件は、限られています。

①血糖コントロールが良好である
②極度の肥満状態でない
③合併症が併発していない
④肝機能に問題がない
⑤薬物治療・インスリン治療を受けていない
⑥節度を守った飲酒ができる

 以上の①~⑥の条件すべてを満たすことですね。

 血糖コントロールを良好に行うための1日の飲酒量について説明します。

 以下は、1種類を飲む場合の1日の熱量です。

●ビール(5%) → 中ビン1本(500ml)
●日本酒(12~14%)→ 一合
●ワイン(11~14%) → グラス1.5杯
●焼酎(20~25%) → 0.6合
●ウイスキー(40~43%) → 50ml

 一部では言われているような、「ビールや日本酒はダメだが、焼酎は多めに飲んでも大丈夫」ということはありません。つまみは、高カロリー・高脂肪食はひかえましょう。野菜、大豆製品、海藻類、酢の物を中心に食べましょう。1週間に1~2回を休肝日として、節度ある飲酒を心がけましょう。

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