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うみねこ通信 No.3 平成11年9月号

三内丸山の縄文人に結核はあったか?

第1内科部長  竹川 弘美

青森市にある三内丸山遺跡の発掘によって、日本人の縄文時代に対する認識が根本的に見直されています。ところで、この縄文時代に肺結核はあったでしょうか。どうやら縄文時代には結核は無かったようです。
 東京都老人総合研究所の鈴木隆雄氏によれば、結核は弥生時代から古墳時代にかけて大陸からの渡来人によって日本にもたらされ、土着の縄文人に広がったそうです。
 それ以来日本は結核に悩まされ続け、特に若い人がたくさん死亡し、戦前には「国民病」と呼ばれるほどでした。昭和29年までは死亡原因の第1位は結核であったのです。
 それが戦後、抗結核薬開発、生活の向上及び国の肺結核に対する予防対策等の結果、急激に結核を減らすことができました。現在では、死亡原因の22位まで下がっています。
 今から30年ほど前、ノーベル賞に輝く免疫学者の権威ですら、西暦2000年までには結核菌は消滅してしまうだろうと言っていました。ところがところが昭和52~53年ごろより減り方が緩やかになり、ついに平成9年度には結核新登録患者が前年より上回ったのです。これは昭和34年以来38年ぶりのことでした。
 過去の病気と思われていた結核が今後ひきつづき増加していく危険性があり、再興感染症として猛威をふるい続けるか否かの分岐点であるとの認識から、厚生省は今年7月26日、国民・医療関係者・保健所担当者へ向け、結核緊急事態宣言を発しました。
 国民に対しては『結核予防はひとりひとりの注意から』と、うたっています。
 一般的に結核は免疫力の低下した人に発症しやすい病気ですが、もしも2週間以上咳が続くようでしたら、単に風邪だと思わないで医療機関を受診したほうがよいと思われます。
なお、結核の最新情報を知りたい方は結核予防会のホームページを参照して下さい。

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