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うみねこ通信 No.23 平成13年5月号

骨粗鬆症

副院長(整形外科)  天野 正文

Q1 どんな病気?
年を重ねることにより、どんな人でも骨の量は減ってきます。私たちの骨は20歳ごろをピークに、年をとるごとに少しずつ減っていきますから、骨量の減少それ自体は生理的現象とも言えます。でも皆が同じように減っていくのでは有りません。減りやすい体質や、長年の生活習慣などにより骨の量が減って”す”のはいった大根のように骨が粗くなった状態を骨粗鬆症と言います。
すなわち、骨量が成人の2~3割も減り、骨の構造が弱くなって骨折を起こしやすくなっている状態、もしくは骨折をおこしてしまった状態のことをいいます。おばあさんになると背中が曲がってくるように、骨粗鬆症は昔からよく見られる病気で新しい病気でも、珍しい病気でもありません。人々が長生きするようになった高齢社会が抱える問題の一つです。女性は男性より長寿ですが、骨の面からは不利です。妊娠中には胎児にカルシウムを分けてやりますし、閉経後は女性ホルモンが低下して骨量が急激に落ち込みますので、女性は男性よりはるかに骨粗鬆症になりやすいのです。
Q2 どんな原因?
骨は固いので、一度作られると変化しないように見えますが、人が生きている限り骨も生きています。丈夫でしなやかな骨を保つには、古い骨を壊し、たえず新しい骨に作りかえる必要があります。ところが、骨のもとになるカルシウムの摂取が不足したり、身体が老化して骨を作るためのホルモンが不足してくると、骨を作る量よりも骨を壊す量のほうが多くなります。こうして骨からカルシウムが徐々に減り、骨がスカスカになっていきます。
Q3 どんな症状?
軽度の骨粗鬆症の症状は、立ち上がる時や重いものを持つと背中や腰が痛む、背中や腰が曲がってくる、身長が縮んでくる等です。
さらに進むと、とくに原因も無いのに背中や腰の激しい痛みで寝込んでしまったり、ちょっと転んだだけで手首や肩や脚の付け根を骨折するようになります。
こうなるとせっかく長生きしても寝たきり状態になる危険があります。
Q4 どんな検査をするのですか?
骨の量を測ること(骨密度測定)が検査の中心ですが、他の病気と区別するために脊柱のレントゲン検査、血液検査、尿検査も行なう必要があります。
病歴や生活習慣の問診も重要な手がかりとなります。自分の病歴や生活習慣(食事内容や運動習慣など)をあらかじめ整理しておくとよいでしょう。
Q5 どんな治療をするのですか?
老化によって減ってしまった骨を若い頃のように戻す薬はありません。しかし、最近では骨粗鬆症治療薬が開発されていますので、症状により使い分けることが出来ます。日常生活の状態で骨粗鬆症の原因となるのは運動不足、カルシウム摂取不足、日照不足が代表的な3つです。
激しい痛みで寝込んだ場合には、痛み止めなどを使い楽な姿勢で臥床し、痛みが楽になったら出来るだけ早く起きあがる努力が必要です。運悪く骨折した場合には、整形外科的手術が必要です。早く手術することにより治療期間を短くすることが出来ます。
Q6 予防するためには?
骨を強くするための3原則はカルシウムを多く含む食事・適度な運動により骨量を増やすこと・日光浴でカルシウムの吸収に欠かせないビタミンDを作ることです。若いときから生活の中に運動習慣を取り入れて体力作りに励むことが必要です。皆さんも今より若いときはありませんので、長寿生活を楽しむためにも、身体に良い生活習慣をつけ健やかな老後を楽しみましょう。
骨粗鬆症は予防することが出来ますので、病院から与えられる医療(内服薬・注射など)だけでは治療効果があがらず、自らが努力して生活習慣を変えることが重要です。

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