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うみねこ通信 No.27 平成13年9月号

不眠症

神経科副部長  新開 隆弘

不眠は国民病のひとつ

厚生省の調査では現代人の5人に1人が睡眠に関する悩みを抱えていることが分かっています。不眠は女性に多く、高齢者で増加する傾向がありますが、現代社会ではストレスや24時間型の生活習慣から不眠に悩む若い人も増加する傾向にあります。

不眠症とは

不眠とは「自分の望む時間帯に眠れない」ことを指します。睡眠時間には個人差がありますので厳密に何時間以上眠れなければ不眠症、ということはありません。十分な睡眠時間をとっていても本人が「眠れない」と感じている場合は不眠症の可能性があります。

不眠の種類には (1)寝つきが悪い (2)途中で何回も目覚めてしまう (3)早朝に目覚めてしまう (4)熟眠感がない、などがあります。一方、不眠症を引き起こす原因はさまざまです (表1)。

不眠の診断には問診、家族からの聞き取りがまず行われます。この他、睡眠ポリグラフィという機械が使われることもあります。睡眠中の脳波や筋肉、眼球の運動を記録するものですが、不眠を専門に診察している施設に限られます。

表1.不眠の原因

身体的原因 さまざまな病気が不眠の原因となる。
不眠と関係の深い疾患には胃潰瘍、ぜんそく、アトピー性皮膚炎などがある。
また、更年期障害でも不眠になることがある。
生理的原因 残業や交代勤務など急激な環境変化や不適切な生活環境や習慣による不眠。
心理的原因 社会生活、家庭生活上のストレス、人生の大きな変化。
精神医学的原因 神経症(ノイローゼ)、うつ状態・うつ病など。
薬理学的原因 さまざまな薬剤や酒(アルコール)、コーヒー・紅茶(カフェイン)、タバコ(ニコチン)などの嗜好品による不眠。

不眠を改善する方法

上記の不眠の原因のうち、取り除けるものは取り除くまたは軽減することをまず目指します。この他、睡眠環境を整える、生活習慣を改めることも大切です (表2)。しかし、可能な限り原因を取り除いたり(あるいはそれ自体が不可能な場合もあるでしょう)、睡眠環境や生活習慣を改めたりしても不眠が改善しない場合は医師に相談することをお勧めします。

表2.不眠を改善する方法

1 睡眠環境を整える
  1. 寝室は静かで真っ暗が基本
  2. 温度20~25℃、湿度50~70%
  3. 寝具にもこだわる
2 生活習慣を改める
  1. 朝、定時に起きる
  2. 朝、太陽光に当たる
  3. 日中は活動しメリハリをつけた生活をする
  4. 適切な昼寝はOK(3時より前、30分以内)
  5. 就寝4時間前よりコーヒーなど刺激物は避ける
  6. 眠くなってから床に就く(時刻にこだわらない)

睡眠薬、飲んで大丈夫?

医師による診察の上、睡眠薬が処方されることがあります。睡眠薬は「一生止められなくなる、ボケる、大量に飲むと死んでしまう」と思い込むのは間違いです。確かに以前はその様なこともありましたが、現在の睡眠薬は安全性が高く、正しく使っている限りその様な心配はほとんどありません。とはいうものの、やはり服用にあたっては注意しなければならない点がいくつかありますので、医師・薬剤師の注意をよく聞き、指示どおりに服用しましょう。

一般的な注意としては (1)就寝前に服用する (2)アルコール類と一緒に服用しない (3)自分勝手な判断で量を加減したり、中止しない (4)自分の薬を人にあげたり、もらったりしない、などです。

寝酒の効用は?

眠れないときにお酒を飲む人は多いようです。しかしアルコールによる眠りは浅いため、熟眠感が得られませんし、飲み続けているとそれなしでは眠れなくなったり、量が増えていく危険性もあります。眠れないときにはお酒に頼るのではなく、適切な治療を受けることが大切です。

きちんと治療を

不眠はただ眠れないだけでなく、体の状態に悪い影響を及ぼしたり、昼間の眠気のために仕事に支障がでたり、事故などを引き起こす恐れもあります。不眠を「たかが眠れないだけ」と軽く考えずに、きちんと治療することが大切です。

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