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うみねこ通信 No.52 平成15年10月号

爪の水虫

皮膚科部長  亀田 忠孝

爪も水虫になるということをご存知でしょうか?白く濁って厚くなった足の爪。最近特に多くなったように思います。今回はそのような爪の水虫についての生活上の注意と治療法についてお話します。

水虫とは?

水虫というのは俗称で正式には「足白癬」といいます。爪の水虫は「爪白癬」が正式名です。白癬菌というカビが皮膚の角質層というところに入り込んで、寄生することによって起きる病気です。

白癬菌はどのようにして爪に入り込むのか?

爪の水虫は爪の周りの皮膚の水虫から入り込んで感染しますが、白癬菌は角質層のケラチンというタンパク質を栄養分にして増殖します。爪も皮膚から発生したものですから、白癬菌が大好きなケラチンからできており、それで、白癬菌に侵されるわけです。

患者さんの数は?

最近外来でとても多く、目立ちます。足の水虫の約半数の人が爪にも水虫をもっています。年令が進む程、患者さんが多くなります。ピークは50~60才台です。最近、糖尿病の患者さんが増えていますが、糖尿病の人はいろいろな感染症にかかりやすく、爪の水虫を持っている人も多いようです。

爪白癬と診断するポイント

爪が厚くなったり、白くなる病気は他にもありますから、まず、それらとしっかり区別しなければなりません。そのために、爪の一部を削り取って顕微鏡で調べたり、カビを培養したりして、白癬菌がいることを確認します。

爪白癬の症状

見た目の形もいろいろですが、感染した爪は厚くもろくなって、白く濁ったようになります。ときには巻き爪や陥入爪になって、皮膚に食い込んで痛んだり、細菌の感染を起こす人もあります。しかし、ほとんどの場合は自覚症状がありません。

治療と対策

爪の水虫の場合は、外用剤が爪の奥までしみ込まないので、外用を単純に続けてもほとんど効果はありません。そこで内服薬で内から治療します。内服を始めると、まず、爪の根元から正常な爪が伸びてきて、最終的には健常な爪に置き換わって治癒します。重大な副作用はほとんどないので、普通の人は安心して治療していただけると思います。なにかの理由で、内服出来ない人には、爪の水虫になった部分を削り取る方法もあります。削って、外用剤を塗るだけで治るものもあります。一般に爪の伸びは年とともに遅くなりますので、高齢者ほど爪の水虫も治りにくくなります。

生活上の注意点

水虫は家族にうつすことも多く、自分が感染源になっているという意識がないのが問題です。また、爪全体が水虫になってからでは完治まで時間がかかってしまいます。できるだけ早期に治して下さい。爪の水虫は白癬菌の貯蔵庫といわれます。例えば、いくら足の水虫を治しても爪の水虫が残っていれば、爪周囲の皮膚に白癬菌が侵入して、いずれ足の水虫は再発します。家庭での注意点としては、もろくなった爪の破片が散らばり菌をバラまいてしまうので、掃除をこまめにする、スリッパやバスマットを共用しないなども大切です。そして、何よりも大事なことは、根気よくきれいな爪が生えてくるまで薬を飲み続けることです。

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