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うみねこ通信 No.50 平成15年8月号

レントゲン機器のデジタル化による恩恵

放射線科  中林 秀樹

近年、私達の生活は大変便利になりました。様々な器機がくらしの中に取り入れられ、それらが無いと不便に感じます。テレビ・掃除機・冷蔵庫等は、部屋に無いだけで寂しいと想えるほどです。また、器機の進歩もめざましく、例えば、電話の場合、携帯して話せるだけでなく、画像も撮れ、メッセージのやり取りも自由に出来ることが当たり前の時代となってきました。

さて、レントゲンといえば、相変わらずの白黒写真を想い浮かべることと思います。確かに診察室で目にするレントゲン写真は以前から見ているものと同じですが、画像を作る過程が大きく変わりつつあります。

従来の方法はカメラにフィルムを入れてシャッターを押して写真を撮るのと同じで、X線フィルムにX線を曝射して白黒を作っていました。今はデジカメと同様に撮影したものを電気信号として記録し、コンピュータで適切な処理をして診断に適した画像をテレビのモニターで確認してから写真としてフィルムに映し出します。デジカメや携帯電話でもプリントすることなく好きな時に画像を見ることが出来るように、X線写真も必要な時にモニターで観察することが可能となっています。医療の世界もアナログからデジタルの時代へと変ってきたわけです。

放射線診断における機器の開発・改良も、めざましい速さで進歩しています。ほとんどの撮影装置にはコンピュータが組み込まれており、昔ながらの勘や経験に頼るようなことは少なくなりました。それと同時に画像による診断で見える範囲が非常に広がりました。

血管の詰り(脳梗塞や心筋梗塞)については、従来から特別な検査を実施することで診断を行ってきましたが、かなりの痛みを伴ったり、長い安静時間が必要となります。

例えば、脳血管の検査については、動脈にカテーテルを入れ、フィルムに写すための薬剤を注入することで、その形状を映し出しますが、この場合、注入した薬剤の影響による痛みが残ることや、止血を行わなければならないことから、約半日間の安静が必要です。

また、三次元的な複雑な脳の血管の走行を、平たい一枚のフィルムに映すため、様々な血管が重なってしまい画像を正しく理解するには相当の訓練が必要となります。

しかし、最近では、機器の進歩により、痛みが少なく、短い時間で検査ができるようになりました。

例えば、最近のCTは㎜単位で人体を輪切りにすることが出来るようになったため、X線写真では捉え切れなかった小さな病変をきれいに、そして確実に描き出すことが出来るようになりました。更にコンピュータを駆使し、あらゆる方向から立体的に観察することも可能になります。しかも検査時間も短縮され、数十秒のうちに撮影から画像の表示までを完了させます。

このように画像診断装置の進歩によって、以前のように大掛かりな検査法では表わしきれなかった部分までも速やかに、鮮やかに詳しく示してくれようになってきています。したがって、患者さんは検査台の上に仰向けに寝ているだけで、痛みを感じることも少なくなってきています。体に侵襲が少なくなる分だけ今までよりも楽で安全に検査を受けてもらうことが出来るようになることと思います。

今後も、さらに新しい機器が開発され、もっと詳しく体の状態を調べることが出来るようになることと思います。診断機器の進歩は、検査を受ける患者さんの苦痛と時間の制限を取り払ってくれることと思います。

青森労災病院の放射線科では、安全で楽で確実な検査を提供していきたいと考えています。

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