閉じる
HOME
診療科のご案内
当院のご紹介
ご来院の皆様
採用情報
診療科・各部門
各種ご案内


HOME ≫ 各種ご案内 ≫ 広報誌のご案内 ≫ うみねこ通信 ≫ バックナンバー ≫ 平成16年1月号

うみねこ通信 No.55 平成16年1月号

心の病気とストレス

神経科医師  上田 展久

日常耳にする言葉にストレスという言葉があります。ストレスとは日常の生活を通じて受ける刺激(この刺激をストレッサーという)に対して起こる心身の変化や歪みの状態です。現代社会はストレスの社会といわれるように、日常生活には様々なストレッサーが存在します。職場では配置転換やリストラ、上司や部下との人間関係などが、家庭では家事や育児疲れ、嫁姑問題などがあります。ストレスが長く続くと心の病気になってしまいますが、病気になる前段階があり、その時期を把握することが大切です。ストレスが続くと、疲れやすくなったり面白くなくなったりという危険信号が発せられます。この時期を警告期といいます。さらにそのままストレスが続くと、軽い興奮状態になり普通より調子が良く感じることもあります。この時期を抵抗期といいます。この抵抗期は一時的なもので、残ったエネルギーを使い果たす時期でもあります。この時期をさらに過ぎると、全く踏ん張りがきかなくなり、自分の力ではどうにもならなくなります。この時期を消耗期といい、うつ病や神経症など心の病気を発症する時期でもあります。消耗期に入る前に適切なストレス解消をすることが心の健康には必要です。

うつ病について

心の病気の一つにうつ病があります。うつ病とは憂うつがひどく、そのために今まで出来ていた仕事や家事など基本的な日常生活が送れなくなる病気です。うつ病は「心のカゼ」と言われるように、誰でもかかる可能性があります。うつ病の主な症状は気分が憂うつになる、やる気が起きない、自分を責めてばかりいる、不安で落ち着かない、眠れない、食欲がわかない、自分はいないほうが良いと思うなどで、ひどくなると自殺してしまうこともあります。うつ病は必ず回復する病気ですが、回復には近道があります。それは服薬と休養です。うつ病の90%以上は抗うつ薬によって改善するといわれています。また休養も薬物と同じくらい有効です。逆にうつ病の人に対して、やってはいけないことは励ますことです。うつ病の人は励まされてもそれに答えることができない自分に罪悪感を抱き、より症状が悪化してしまう危険があります。うつ病は放っておくと自殺してしまう危険のある病気ですが、治療すると治る病気です。

神経症とは

神経症とは精神的原因(心因)によって精神的、身体的症状が引き起こされた状態で、症状によっていくつかの種類に分けられます。急に不安が襲ってくる不安神経症、広場や集団が怖くなる恐怖神経症、ある考えが頭から離れなくなり同じことを何度も繰り返してしまう強迫神経症、急に意識を失ったり倒れたりするヒステリー神経症、憂うつな気分になる抑うつ神経症、何か体の病気になったのではないかと心配してしまう心気神経症など、その症状によって分けられます。神経症の治療には3本の柱があります。一つは抗不安薬や抗うつ薬などを用いた薬物療法、もう一つは精神科的面接やカウンセリングなどの精神療法、そして最後の一つは環境調整です。これらの3つが適切に行われることによって神経症の治療は成立します。そのため病院―患者―家族の連携が重要です。

心の健康を維持するために

心の健康を維持するためにはストレスに対して上手に対処することが必要です。ストレスをためないコツは自分なりのストレス解消法を持つことで、そのストレス解消法を定期的に実践していくことです。ストレス解消法は個人個人で異なるため、一般的な方法をいくつか試してみて、自分に合う方法を探すのが良いでしょう。十分な睡眠と休養、適度な運動、親しい人との語らい、良い人間関係、安心できる場所などがストレス解消に役立つとされています。また心の病気かどうか迷った場合は専門医に相談することも大切です。

このページの先頭へ