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うみねこ通信 No.58 平成16年4月号

きずあとの経過、いかがですか?

形成外科部長  荒 道人

ケガや手術の傷は治ってから、どのような経過をとるのでしょうか? 今回は、きずあとの経過についてお話します。(手術の傷を中心に書きますが、一般のきずあとでも基本的に同じです。)

ケガや手術で縫った傷は、1~2週間程度で糸が抜かれます。(もっと早い時期に抜く場合もあります。)この時点で傷はくっついてはいますが、まだしっかりとくっついているわけではありません。日常生活はあまり問題となりませんが、強くぶつけたりすれば、傷が開いてしまうこともあります。そのため少し注意しておいた方がよいです。普通3週間程度経過すれば、まず安心できます。なお、すりきずのような傷の場合は、治ったところはシミになりやすいため、半年くらいは日焼けしないように注意することをおすすめします。日焼け止めクリームを塗ったり、顔の場合は外出時には大きめの帽子をかぶったりするとよいでしょう。

次に、初めの1~3ヶ月の間は、増殖期といってきずあとが赤くなってきたり、硬くなってきたりします。時々ピリッとした痛みや痒みがでてくることもありますが、心配はありません。この期間はできるだけきずあとの安静を保った方がよい時期です。圧迫が可能な部位では、きずあとを圧迫しておくのもよいです。

その後半年ほど経過すると成熟期に入り、赤みもおさまってきて、硬かったきずあとも柔らかくなってきます。痒みなどの症状もほとんどなくなります。きずあと部分の緊張が強い場合や、可動部などではもう少し時間がかかることもあります。ここまでくればその後はあまり大きな変化はなくなります。

通常はこのような経過をとるきずあとですが、経過の途中で盛り上がってきて、強い痛みや痒みがおこってくること(肥厚性瘢痕、ケロイド)もあります。また半年経ってもいつまでも赤みがおさまらないとか、きずあとが縮んだり、成長に伴ってつっぱってくること(瘢痕拘縮)もあります。

このような状態になるときずあとの治療の対象になります。痛みや痒みといった症状や外見上の問題になりますが、瘢痕拘縮があると機能上の問題もでてきます。また、特に拘縮が強い場合、何十年もそのままにしておくと、小さな潰瘍ができたり治ったりを繰り返し、その後瘢痕癌といって皮膚癌が発生することもあります。そのため、瘢痕拘縮がある場合は積極的に治療をした方がよいです。

治療は、圧迫や軟膏、内服療法、ステロイドテープ貼付などの保存的治療と手術があります。どのような治療になるかは、患者さんそれぞれの状態によりかわってきます。一般的に保存的治療は時間がかかりますが、手術をした場合でも、また新たに傷を作るわけですから、そのきずあとが落ち着くまで半年以上かかります。きずあとの治療は気長に根気よく続けることが必要です。

きずあとの経過で、気になることがあればどうぞご相談下さい。

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