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うみねこ通信 No.68 平成17年2月号

ピロリ菌と胃・十二指腸潰瘍について

第二内科第3部長  長谷川 裕子

◎ ピロリ菌とは

最近テレビや新聞でもとりあげられているピロリ菌についてご存知でしょうか?

らせん形(ヘリコ)の細菌で胃幽門(ピロルス)周辺に存在することから、ヘリコバクター・ピロリと名づけられました。

主に子どものときに経口感染するといわれていますが、感染経路の詳細は不明です。日本におけるピロリ菌の感染者は、全人口の約60%と推定されており、欧米の約2~3倍の感染率になります。ピロリ菌の感染率は衛生環境と相関があると指摘され、50歳以上の日 本人の70~80%が感染しているといわれていますが、20歳以下の若年者では、感染率は20%以下です。一度感染が成立すると、除菌しないかぎりほぼ一生にわたりヒトの胃に住み続け、毒素を出し、胃粘膜の障害(胃炎)を引き起こします。さらに一部の人には胃・十二指腸潰瘍を引き起こします。

まれに胃がんなどが発生する場合もあります。

実際に胃・十二指腸潰瘍患者さんでは90%近くがピロリ菌に感染しています。潰瘍は一度治っても再発を繰り返すことがよくありますが、ピロリ菌の除菌によって、大部分の潰瘍の再発が抑制されることがわかっています。

◎ 感染診断

内視鏡を使う方法と使わない方法があります。

<内視鏡を使う方法>

胃炎や潰瘍などの病気があるかを直接観察し、それと同時に、胃粘膜を少し採取しそれを使って検査する方法です。

<内視鏡を使わない方法>
1) 尿素呼気試験法:
検査用のお薬を飲み、20分経過した後に吐き出された息(呼気)を調べます。簡単に行える方法で、除菌判定に有用です。
2) 抗体測定法:
血液や尿を採取して調べます。
◎ ピロリ菌の除菌療法

保険適用上、胃潰瘍と十二指腸潰瘍の患者さんが除菌治療の対象となります。内視鏡検査において胃または十二指腸潰瘍の確定診断がなされたうえで、ピロリ菌の感染が確認できれば、除菌治療が行えます。

ピロリ菌の除菌には、胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害剤と2種類の抗生物質(アモキシシリン、クラリスロマイシン)の3剤が用いられます。この3剤を同時に1日2回、1週間服用することで、90%近くの症例で除菌に成功すると報告されています。 副作用で最も多いのは「下痢・軟便」です。他に過敏症(発疹)、味覚異常や舌の変色、肝機能障害を認めることがあります。

◎ 除菌後の判定の重要性

除菌療法後1ヵ月以上経過してから、完全にピロリ菌が除菌されているかどうかを、尿素呼気試験などで確認する必要があります。

残念ながら10%程度の症例では除菌ができていないのが現状です。除菌成功例では、ピロリ菌の再感染率(2~3%)は低いと報告されていますが、お酒やタバコ、鎮痛剤などのお薬あるいは過度のストレスなどが潰瘍の原因となることがありますので、定期的に潰瘍再発などのチェックをしていく必要はあります。

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