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うみねこ通信 No.91 平成19年1月号

アレルギー性結膜炎

眼科部長  木村 百子

あと1~2ヶ月で東北地方でも、スギの花粉が飛散します。今回はアレルギー性結膜炎についての説明です。

結膜とは上下のまぶたの裏側と、白目(強膜)の表面を覆っている半透明の膜で、皮膚に似た構造をしています。結膜には細かい血管が豊富に存在し、またリンパ組織という免疫反応(からだが異物に対して反応すること)を起こす組織もあるため、ここに異物が付着すると炎症反応が起ります。その結果、充血やかゆみ、流涙などの症状が出現します。アレルギーとは、外から入ってくる異物に対して、からだが過剰に反応することで起ります。結膜は直接空気に接しているので、様々な異物が飛び込んできます。眼のアレルギーを起こす原因物質としては、花粉、ハウスダストといわれるダニやカビ、動物の毛やフケ等が代表的なものです。

アレルギー性結膜炎の種類と症状
1)花粉症

花粉が原因で生じるアレルギーです。花粉症を起こす植物としては、春先に多いスギ、秋に多いブタクサなどが有名ですが、花粉そのものが毒性を持っているわけではありません。花粉が体に入ってくると、好酸球という細胞が過剰に反応して、ヒスタミンなどの化学伝達物質をたくさん作ってしまうことが花粉アレルギーの原因です。症状は眼のかゆみ、充血、異物感、目やになどです。花粉症では毎年決まった時期に症状がみられることが特徴です。

2)ハウスダストによるアレルギー性結膜炎(通年性アレルギー性結膜炎)

ハウスダストによる結膜炎も、原因や症状は花粉症と同様です。(異物が花粉ではなく、ハウスダストであるという違いだけです。)しかし、ハウスダストは花粉と異なり、常に身の回りにあるので、一年を通して症状が慢性的にみられるのが特長です。

3)春季カタル

春季カタルはアレルギー性結膜炎の慢性重症型です。10歳くらいまでの男児に多くみられます。ハウスダストが原因となっていることが多いとされています。目のかゆみが非常に強いうえ、黒目(角膜)の表面に多くの小さな傷ができるために異物感が強く、光をまぶしく感じます。炎症が強いときは、黒目に白い濁りができることがあります。ひどくなると、白く濁った部分が剥がれ落ちて角膜潰瘍という状態になることもあります。従来は、歳を過ぎると症状が軽くなり、自然に治癒することが多かったのですが、アトピー性皮膚炎を合併することが多くなった最近では、歳代でも強い症状がみられる人がいます。

アレルギー性結膜炎の診断

目やにを顕微鏡で調べて好酸球という細胞が見つかれば確実にアレルギー性結膜炎と診断できます。ただし、通常は、充血やかゆみなどの症状や結膜の状態から容易に診断することができます。アレルギーを起こしている原因物質を調べる方法には、皮膚をこすって疑わしい物質のエキスを乗せ、その部分が赤くなるかどうかを調べるスクラッチテストや、血液検査などがあります。

アレルギー性結膜炎の治療

抗アレルギー作用をもつ目薬を用いた治療が主に行われます。花粉症の場合、あらかじめ季節が判明しているときは、かゆみなどの自覚症状が出現する前に目薬をつけ始めることで、症状の出現を予防したり、軽くしたりすることができます。かゆみの症状が強いときは、ステロイドを含む目薬が使われることもあります。この目薬は、症状を抑える効果は強いのですが副作用として眼圧上昇を起こすことがあるので、眼科に通院しながら注意深く使う必要があります。目薬だけで症状が治まらないときは、抗アレルギー剤を内服することもあります。春季カタルなどの重症例ではステロイド薬を内服することもあります。

アレルギー性結膜炎の予防方法

花粉症の場合は、症状の出現しやすい季節にできるだけ花粉と接しないように工夫することが重要です。ゴーグル型の眼鏡や花粉防止用のマスクの着用が最も効果的です。花粉が飛びやすい日は外出や洗濯物などを外に干すことを避けたり、外出から帰宅したときには服についた花粉を落とすようにしましょう。ハウスダストの場合は、部屋の清潔を心がけたり、寝具を干したりするのも効果的です。また動物を室内で飼うことは避けたほうがいいでしょう。

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