閉じる
HOME
診療科のご案内
当院のご紹介
ご来院の皆様
採用情報
診療科・各部門
各種ご案内


HOME ≫ 各種ご案内 ≫ 広報誌のご案内 ≫ うみねこ通信 ≫ バックナンバー ≫ 平成20年9月号

うみねこ通信 No.111 平成20年9月号

薬の相互作用(飲み合わせ)って何?

主任薬剤師  都筑 久美子

薬を2種類以上同時に服用した場合、薬の飲み合わせによっては作用が強く出たり、逆に効果がなくなったり、場合によっては副作用が出やすくなったりすることがあります。これを薬の相互作用と呼んでおり、相互作用はすべての薬で起こるわけではなく、また人によってその影響も異なりますが、危険な飲み合わせもありますので、複数の薬を服用する場合は注意しなければなりません。また、薬と薬だけでなく、薬と食べ物や飲み物などでも、薬の作用が強くなったり弱くなったりすることもあります。今回は、最近注目されている相互作用をいくつか紹介したいと思います。

【どのような過程で起こるの?】

薬が相互作用を起こす仕組みにはいろいろなものがありますが、大きく4つに分けられます。薬は主に小腸で吸収され、血流に乗って体のいろいろな所に行きわたり(分布)、主に肝臓で分解され薬の形を変え(代謝)、主に腎臓から薬が排泄されます。このように薬は、吸収、分布、代謝、排泄の4つの過程を経て、体からなくなっていきますが、相互作用は、この過程の中で起こります。

【グレープフルーツジュースと薬の関係は?】

高血圧や狭心症の治療に使われるカルシウム拮抗薬を、グレープフルーツジュースと一緒に飲むと血液中の薬の量が多くなり、作用が増強され過度の血圧低下や心拍数の増加が起こり、頭痛やめまいなどの副作用が出ることが報告されています。なぜ相互作用が起こるかの詳細は不明なところもありますが、グレープフルーツの苦味成分が肝臓での薬物代謝酵素を阻害すると考えられています。血圧降下剤にはたくさんのグループがありすべて相互作用があるわけではないので、グレープフルーツを食べたりジュースを飲んだりする機会がある方で、心配な方は薬剤師に相談して下さい。

【ワーファリンと納豆の関係は?】

ワーファリンはビタミンKの働きを抑えて血液を固まりにくくする薬です。ビタミンKは出血の時、血を止めるのに必要なビタミンです。ですから、ビタミンK を一緒にとるとワーファリンの効果が減弱します。納豆は、それ自体はそれほどビタミンKを含まないのですが、納豆菌が腸の中でビタミンKを大量に作るため、作用が大きく現れワーファリンが効かなくなるので飲んでいる方は避けていただいています。クロレラや青汁もビタミンKを多く含んでいるので同様です。一方、緑黄色野菜や海藻類は食生活上必要なものなので、毎日一定量を食べるようにし、一時的に過食するようなことは避けてください。別の疾患で他の医師にかかる場合には、必ずワーファリンを飲んでいることを話して下さい。

【鉄剤とお茶の関係は?】

鉄剤はお茶の成分の一つであるタンニン酸と結合して吸収が阻害されると考えられてきました。しかし、最近ではさまざまな研究結果から、貧血で鉄剤を服用する時に、お茶が血液中の鉄値の上昇を妨げるという影響はそれほど大きくないということがわかってきました。ですから、鉄剤服用者がお茶を我慢する必要はないといえます。ただし、お茶にはカフェインも多く含まれていますし、鉄剤には一緒に飲むと吸収が悪くなる薬があります。

不必要な相互作用を防ぐという観点から、薬は水かぬるま湯で服用するようにして下さい。

【相互作用を防ぐには?】

すべての相互作用が分かっているわけではないので、全く起こさないということは難しいのですが、注意すべきことはあります。

まず複数の病院にかかる場合や大衆薬(町の薬局や薬店で売っている薬)を併用する場合は、他にどのような薬を飲んでいるか、医師や薬剤師に伝え、一緒に飲んでも大丈夫か聞いてください。薬を併用し始める時や減らす時には注意が必要ですし、相互作用を承知で医師が処方している場合もありますので、自分勝手に飲んだり飲まなかったりすることはやめましょう。

当薬剤部では、お薬相談窓口を開けておりますのでいつでもお気軽にお立ち寄りください。

このページの先頭へ