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うみねこ通信 No.134 平成22年8月号

放射線治療ってなあに

主任放射線技師  泉山 謙吉

放射線治療は手術による外科療法、抗がん剤による化学療法と並ぶ腫瘍治療のひとつです。放射線単独で治療を行うこともありますが、病状に合わせて他の治療方法と組み合わせて行われることもあります。手術と同じく、腫瘍とその周辺のみを治療する局所治療ですが、手術と異なるところは、臓器をもとのまま温存することができ、治療の前と同じような生活をすることが可能な治療手段です。

放射線には電離作用があります。この作用は細胞内のDNAという遺伝子を傷付け、分裂・増殖をおさえます。正常細胞より細胞分裂の盛んな腫瘍細胞は放射線の電離作用を受けやすく、腫瘍細胞の縮小・消失に繋がります。正常細胞も放射線の影響を受けますが、自己修復が可能であるため時間の経過と共に回復してきます。この放射線の電離作用から起こる回復過程の差を利用して治療しています。

放射線治療には3種類の治療方法があります。
外照射
放射線治療のうち一番多く行われている治療方法です。直線加速器(リニアック・ライナック)から発生する高エネルギーX線や電子線を用いて治療します。治療効果を高めるため10回から30回照射を行いますが、1回あたりの照射時間は数分です。近年粒子線を発生させて治療に用いる装置が開発されその有効性が実証されています。粒子線の特徴は、人体の内部に入って想定された位置の周辺のみに大きなエネルギーを放出する性質があります。それを利用して体内の腫瘍を治療することが可能となりました。コンピューターによる精密な部位診断と投与量の設定により、皮膚に対する影響を軽減し、周囲の健全な臓器に対する影響も最小限にすることが可能となっています。
密封小線源治療
管や針などに密封された放射線源をリモートアフターローディングシステムを用いて挿入して、体の中から放射線を照射して治療する方法です。外照射に比べ病巣に集中して放射線をあてることができ、周囲の正常組織への線量は少なくてすみます。この治療は舌・口腔・子宮や前立腺などで行われています。
非密封放射線同位元素治療
放射性物質を体内に注射をして治療を行います。注入された放射性物質は特定の臓器に取り込まれやすい性質を持っていて、患部に取り込まれると、放射性物質から放出された放射線が治療をおこないます。甲状腺や転移性骨腫瘍に用いられています。

放射線治療は、全く安全で副作用のない治療ではありません。副作用としては、放射線が照射された部位について治療中におこる炎症反応や宿酔(急性期の障害)と治療後におこる萎縮性変化、組織障害(晩期の障害)があげられます。

放射線治療については必ず放射線治療専門医が、病状(大きさ、範囲、部位、転移の有無など)、患者さんの状態(年齢、他疾患の合併の有無など)、以前になされた治療の有無とその内容から、治療をするべきかどうか、するとしたらどの範囲にどのくらいの照射を行うのかを、副作用を十分許容できる限度におさめるように決めています。

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