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うみねこ通信 No.140 平成23年2月号

いざとなったら救急車:あなたの命をあずかる救急救命士
- 救命救急士の気管挿管病院での実地教育にご協力を -

麻酔科医師  前田 朝平

最初に麻酔科の医師がなぜ救急隊と関係があるのか説明します。麻酔科医は手術室において手術患者さんの痛みを除き、ちゃんと呼吸をさせ、ショックにならないように点滴をし、いろいろ強力な薬を使って心臓の力を発揮するようにお手伝いしています。また手術が終わってからも痛くないように工夫します。手術中は、手術が円滑に進むように呼吸を止める薬を使いますので、患者さんが麻酔で眠っている間は気管(のどにある空気の通り道)にチューブを入れ(気管挿管といいます)、人工呼吸をして安全につとめます。これらのいろいろな技術のうちの一つである気管挿管は、救急車の中でも心臓・呼吸が止まった患者さんに実際におこなわれ、救急救命士の大切な役割となっているのです。この実地教育は、国のきまりによって麻酔の専門医が行うことになっています。そして救急救命士の資格をもてるのは、救急隊の隊長クラスの熟練者ですが、その実地教育は市民の命を守るために欠かせないことなのです。

ドクターヘリやドクターカーもあり、さらには小児科など医師会の先生方による夜間診療所での活躍にもみられるように、八戸地域は救急医療にめぐまれています。とは言え、やはり高規格救急車での搬送など救急隊の役割に質・量ともに今後も期待をこめて求められています。八戸地域での救急隊員教育は全国に先駆けて、30年以上も前からはじめられました。彼らの実力は、仕事への情熱・人格とともに優れたものがあります。このことは消火活動や防災活動の人たちも同様です。

 しかし残念なことに、救急救命士の実力維持向上の実地教育は八戸赤十字病院以外、八戸市立市民病院では3年前から、当労災病院でも2年前から麻酔科専門医の不足のため中断されてしまいました。

 ということはこの2年間、「命の環」の大切な技術である「呼吸をさせる=息をさせる=生きらせること」のプロである救急救命士の養成が八戸市では十分にはなされていなかったのです。いざという時に市民がお世話になるかもしれない救急隊の実力維持のために、平成22年秋から患者さんのご協力を得て、当院麻酔科で実地教育を再開いたしました。実地教育の内容は気管挿管のみで、1分間前後の時間を頂いております。麻酔中のいろいろな薬とか人工呼吸器の使用・血圧の調整・体温の管理さらには輸血など、すべて指導にあたる専門医が直接判断し、手術中の患者さんの安全に万全を期しております。


 

地道でほそぼそとした活動ではありますが、当院での救急救命士の実地教育はぜひとも続け、より一層頼りになる救急隊の養成の一助になるよう当科でもがんばっております。

 全身麻酔での手術予定の患者さんには、麻酔科専門医みずからの厳格な指導のもとで行われる、安全な救急救命士の実地教育をお願いすることがあります。これからもよろしく応援してください。

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