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うみねこ通信 No.197 平成27年11月号

不妊症について

産婦人科部長 梅本 実香

不妊症とは

「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、1年間通常の夫婦生活を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。」

従来は2年間とされてきましたが、2015年8月、日本産科婦人科学会が不妊症の定義を変更しました。不妊に悩むカップルは増えています。主な原因として、女性の社会進出に伴う結婚・出産年齢の上昇や、環境汚染・生活習慣の激変などが挙げられます。

不妊症は女性が原因のように思われがちですが、違います。不妊原因を性別に分けると、女性のみ40%、男性のみ25%、男女両方25%、原因不明10%、となっています(統計により異なります)。約半数のカップルは、男性にも原因が隠れているということです。

妊娠・出産に適する年齢をご存知でしょうか?個人差はあるものの、35歳までが妊娠しやすい年齢です。35歳以上になると妊娠率が低下し、流産率が上昇します。35歳以上は高齢妊娠と定義され、妊娠中や出産時のリスクも高くなります。40歳を過ぎると、妊娠率は大幅に減少し、妊娠しても流産する割合が急増します。理由の一つとして、卵子の数には限りがあり、年齢と共に減り、卵子自体も老化するためです。卵子の老化というと驚くかもしれませんが、女性はお母さんのお腹にいる時、既に数百万個の卵子を持っており、生まれてから年齢を重ねるごとに卵子も加齢してしまうのは自然のしくみで、今の医学では止められないことなのです。

不妊症受診のタイミング

上記から分かるように、妊娠は年齢が一つの鍵となります。月経不順・強い月経痛・経血量が多いなど月経に問題がある場合は、不妊の原因が隠れている可能性があるため、年齢に関わらず早く受診しましょう。35歳までに時間の余裕があり、月経のトラブルがない場合は、1年間は待ってみても良いと思います。35歳以上で半年ほど待っても妊娠しない場合や、40歳以上の方はなるべく早く、産婦人科で相談してみることをお勧めします。可能であれば、基礎体温表の持参があると役立ちます。

不妊症の検査

多くのステップをクリアして、妊娠が成立します。大まかには

①排卵(卵巣から成熟した卵子が飛び出る)→

②受精(精子が子宮に入り、卵管内で卵子と精子が出会う)→

③着床(受精卵が、ふかふかのベッド=厚い子宮内膜にくっつき、もぐりこむ)

これらに問題がないか、様々な検査で確認していきます。

①排卵が順調であるか調べるため、血液検査でホルモン値を測ります。年齢の高い方は、卵巣年齢を調べる検査(AMH:抗ミュラー管ホルモン)を行うこともあります。

②卵管の通過性や子宮の部屋の形が良いか、子宮卵管造影検査を行います。造影剤を子宮の中に少しずつ流しながらレントゲンをかける検査です。

また、精子が子宮に入っていくことが出来ないカップルもおり、自然妊娠は困難です。その検査として、夫婦生活後に子宮口からおりものを採取し顕微鏡で見て、前進している精子を観察します。

③排卵から1週間後、卵管を旅して成長した受精卵は、ようやく子宮の部屋に到着します。受精卵にとって居心地の良い、栄養と酸素に満ちたふかふかのベッドが準備されているか、着床の時期に超音波検査を行い、妊娠を維持できるホルモン状態かどうか血液検査をします。

★男性の検査として、精液検査も重要です。近年、精液の状態が悪化してきており、WHOの精液検査の基準が大幅に下方修正されたくらいです。是非、男性も検査に協力していただきたいです。

その他、甲状腺の異常・糖尿病・高脂血症・高血圧症など、妊娠と関係が深い病気がないか、血液検査を行うこともあります。

また、たばこを吸う方には禁煙を勧めています。喫煙者は不妊の割合が高く、また卵子の老化を促進し閉経年齢も早まるという統計があります。また、ご主人にも禁煙を勧めています。なぜなら、喫煙すると精子に悪影響を及ぼし、副流煙は本人の喫煙以上に周囲(妻や赤ちゃん・子供)に大きな害を与えるからです。

心当たりのある方は一人で悩まず、産婦人科で相談してみましょう。

 

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